トッパンホールは初めて。
マチネだったのでなんとか迷わずいけましたが、ソワレだったら道案内の標識を見落としてものすごく時間かかってたかも。 2009年1月31日(土)15:00 トッパンホール アンサンブル Vol.6 ショスタコーヴィチ 交響曲第15番 室内楽版 日本初演 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.50《偉大な芸術家の思い出に》 ショスタコーヴィチ(室内楽版/テレヴィアンコ編):交響曲第15番 イ長調 Op.141a ヴァイオリン:ミハイル・シモニアン チェロ:イェンス=ペーター・マインツ ピアノ:ヴァシリー・ロバノフ パーカッション:竹原美歌 同上 :ルードヴィッグ・ニルソン 同上 :マーカス・レオソン ショスタコNr15の室内楽版は今まで聴いたことが無く、しかも今回日本初演。残念なことに当初予定されていたヴァイオリンのコリア・ブラッハーさんが急病のため、代役に。元BPOのコンマスの実力、リーダーシップ、そして銘器の音色を楽しみにしていたのですが・・・ HPに発表された後、はがきでも代役の案内が届きました。 今回ピアノをつとめられる”ロバノフさんの強い推薦の下、コリア・ブラッハーの代役として日本でビューを飾る”新星シモニアン。現在22歳。かのヴェンゲーロフ、レーピンと同郷、シベリアはノヴォシビルスク生まれ。(やっぱり生まれた場所って関係あるのか。風土的に名ヴァイオリニストが育つところなのか、素晴らしい先生がいらっしゃるのか?) 海外の有名どころとの競演はすでに多くこなしているようですが、これが日本初お目見え。22歳、良いタイミングかと。 今回は室内楽での登場だったのでその才能の片鱗は窺えたものの、彼の真の才能が披露されるのは次回かな。ゲルギエフのおぼえもめでたいらしいので、もしかしてこの年末のマリインスキー来日時にソリストで同行、っていうのもありえるか。 チャイコのピアノ三重奏曲を生で聴くのは2回目。大阪倶楽部の長原くんトリオ以来ですが、演奏者、場所が違うと音楽ってまったく違うものになるのですね。 チェロのマインツさんはとても背が高く、楽器のエンドピンがとても長い!普通の人が持つときっとコンバスサイズ。そして深い音色、演奏姿も哲学者みたいでかっこいいこと。 チェロがリードをとり、ヴァイオリンをなんとなく気遣っている風なところに、ピアノがしっかりと支える。ブラッハーさんのトリオでの丁々発止を期待していたのですが、これはこれでまた違った音楽として楽しみが。 音楽が終わりながーい沈黙。シモニアンくん、思わずピアノを振り返る、そこで拍手が入り、大きな喝采に。 会場中が静かに余韻を楽しむ空気が溢れ、濃厚なチャイコフスキーの時間でした。 後半。 舞台後方に鎮座ましました打楽器の数々が休憩の間にセッティング。オケ版と同じ13種が所狭しと並べられ、そして前半3名に加わって演奏するはパーカッショニスト3名。打楽器奏者って何でもできないとダメなのね。大変です。 指揮者もいない室内楽版、みなそれぞれ自分のパートがあろうとなかろうとカウントとられてます。普段、オケの演奏会だと後方に位置しているため殆ど動作が見えない打楽器ですが、今回は小さな動き、アインザッツの1つ1つが良くわかります。トライアングル1音鳴らすのになんなに神経使っているのか、とか。 この室内楽版、ショスタコ本人も絶賛した、というのに納得。よくできた編曲です。音楽のラインがくっきりと描かれ、素材のよさがわかるというもの。舞台上は6名なのに、大人数で演奏されているよう。また、ヨーロッパではメジャーだそうですが、日本で長らく実現していなかったのはこのパーカッション3名を揃えるのが大変だったからではないのかなぁ。 サントリーホールでの何かの公演のときに入り口で配られたチラシにトッパンホールプレスVol.39 が入っていたのですが、この中の亀山郁夫東京外大学長のショスタコNr15のインタビューがとっても良いのです。これ永久保存版にしたい、深い考察で、今回の演奏を聴くのに大変参考になりました。背景となるロシアに対する水面下の氷山のような知識の裏づけが、通常の、よくある楽曲、作曲家解説ではなく、音楽とそれを取り巻く環境までごっそりと覆って聞き手のもとに持ってきてくださるのです。 先日、ラザレフ&日本フィルで聴いたプロコフィエフ最後の交響曲である7番、そして今日のショスタコーヴィチ最後の交響曲15番。 両者ともそれぞれ違った道を歩きながらも、最後に振り返り見る景色に浮かぶものは同じものだったのかもしれないなぁ・・・なんて思ったり。 熱い演奏、満席の会場。(ほとんどが熱心なクラシックファンかと思われるが、なぜかショスタコ1楽章が終わって拍手が・・・ 録音が(泣)) ショスタコはやっぱりいい!そしてチャイコもやっぱりすごい。 そしてゲルギエフ&LSOショックのプロコ。(←これに完全に人生狂わされたかも) なんとも味わい深き、ロシア音楽哉。
by felice_vita
| 2009-01-31 19:37
| ソロ、リサイタル
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