ある研究者の退官~最終講義の美

仕事でお付き合いのある大学の先生がこの3月で退官となり本日が最終講義だった。
医学部のような派手さはないが、同僚、共同研究者、企業関係者、学生が部屋にあふれた。

スクリーンに映し出される画面にびっしりと書き込まれたこれまでの研究成果、公式、仮説と実証、海外研究、そして院生指導。
なかでも学部時代ー院生時代(修士・博士)-研究室ー留学先ー共同利用機関ー公的開発機関ー現在の大学、と、席を並べ籍を共にした人すべての名前が書かれたページは、一人の研究者の一生すべてがここにつまっているようで胸が熱くなった。
さまざまな研究成果をあげながらも、まだ解決してもらいたい課題があります、と、残る人々に託す課題。
講義室中の敬意と慰労の惜しみない拍手とともに最終講義が終わった。

講義を終えた先生はほっとした様子で思い残すことはないという表情だったが、記念パーティまでのわずかな時間も「まだやることがたくさんあるので」と研究室に戻られた。
おそらくこれまでの約36年を一人研究室の整理をしながら振り返られるのだろう。

講義からの帰り道はもう暗くなっていた。
環状線には家路を急ぐ車の列がどこまでも続いていた。電車からふと眺めたその光景は、地上の星、という表現がぴったりだった。
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by felice_vita | 2006-03-02 20:50 | 日々雑記
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