ゲルギー2日目。本公演は完売。会場はユンディ・リ目当ての女性でいっぱい。この間のブルックナーとは客層まったく正反対であります。あと満席なところが昨日とまた違います。
2009年11月29日(日)14:00@サントリーホール ワレリー・ゲルギエフ指揮 マリインスキー歌劇場管弦楽団 <チャイコフスキー・プロ> 序曲『1812年』 op.49 ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23 Pf:ユンディ・リ 交響曲第4番 ヘ短調 op.36 ♪アンコール 「眠れる森の美女」より"ワルツ” 「くるみ割り人形」より”トレパーク” オケのみなさん、ようやくひとところに落ち着くことができ疲れ度合いもちょっと違ったのでしょうか、清々しく?始まった1812年です。 で、この曲聴きながら思ったのであります。オケ、がんがん鳴ってるんですが何かが違う。それは何かといいますと、このところ立て続けに聴いたのはコンサート・オーケストラ、そしてマリインスキーは歌劇場付きオーケストラであるということです。 今日は聴衆もオケも昨日とは違ってかなりコンディションよく見えたのですが、それでも私が感じたのは、感情に訥々と訴えかけてくるのではなく、脳(視覚)に訴えかける音楽だな、と。昨日よかったのは本編「死の歌と踊り」、アンコールのオネーギン、いずれもオーケストラ単独で作り上げる音楽ではなく歌手やダンサーと一緒に作り上げるもの。 本日の演奏では、ピアノ協奏曲。 ソリストからオケがtuttiで音楽を引き継ぐ瞬間でオケにとても熱が入っていて、オペラでは歌手がアリアを歌い上げた後のオケの盛り上がりだったり、バレエならダンサーの驚異的な跳躍やターンといった見せ場でのそれというのでしょうか。 普通なら、音楽のツボでオケが盛り上げてそこで泣きそうになるところ、マリインスキーの場合その瞬間感情が切り離されて視覚的なもの、画が浮かぶのですよ。なまじ、ツボにはまりまくったヤンソンス&バイエルンのチャイ5が記憶に新しいだけに余計にその違いが鮮明で。 うまく表現できないのがもどかしいのですが、歌劇場の現場では、「このテンポでは踊れない」、「歌えない」といったところをオケが体質的、感覚的に理解していて、人間の動きや呼吸に合わせた演奏をし、かつ盛り上がるシーンでは、オケの前に歌手・ダンサーありきでそこを煽りたてるように少し冷静になった演奏をするように染み付いているのではないでしょうか。 今回のアンコール2曲もバレエ曲、演奏し始めたとたんにそこがコンサートホールではなくて歌劇場で華やかな衣装をつけたダンサーが踊っている画がありありと浮かびました。 と、勝手に自分なりに結論付けてみると、ゲルギー&マリインスキーの真価はこのサントリー4日間公演ではなく12/8のバレエに問うべき(行かないけど)、今回の4日間でもっとも期待できるのは最終日ストラヴィンスキーの春の祭典ではないか、ということです。 昨年の奇跡のプロコ・チクルスを今回に期待するのはそもそもお門違いと。 あと、オーケストラってヴァイオリンソリストにとってどの銘器を選ぶかにも似てるなぁと、これも1812振るゲルギー見ながら思ったですよ ヴァイオリン名手が、長年弾いて相思相愛になっている楽器、だけどこの楽器だとさらに自分が進化するには不足だわ、というのと、ウン億するしなじむまで時間はかかるけどそれをクリアするとお互い丁々発止で更に次のステップにいける楽器。 ゲルギーにとっては前者がマリインスキー、後者がLSOとかVPOとか。 あ、ユンディ・リにまったく触れずに終わってしまいそうですが、彼の演奏初めて聴きましたが熱のこもった、というか熱にうかされているようなホットな演奏でした。 明日はNHK音楽祭、ゲルギー&N響です。 本日の終演後はサイン会あったようです。いつリハやるのか?当日かな?
by felice_vita
| 2009-11-29 18:06
| 海外オケ
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