N響が自分の好みかどうかは別として、日本でもトップクラスのオーケストラであることは間違いないです。
~オーケストラが奏でる故郷の名曲 ロシア・日本~ 2009年11月30日(月)19:00@NHKホール NHK交響楽団 指揮:ワレリー・ゲルギエフ ピアノ:アレクサンドル・トラーゼ コンマス:篠崎史紀 芥川也寸志:弦楽のための三楽章「トリプティーク」 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 チャイコフスキー:交響曲 第6番「悲愴」 1曲目、「トリプティーク」、なんと美しくやさしいメロディーなのでしょう。今回の音楽祭のテーマ、「故郷」日本の古きよき時代、日本人の心の原風景を音楽で描き出すときっとこのようなメロディーに違いありません。宮崎アニメに出てくる深いけれども温かみがありかつ荘厳な森、そこまで見通せる澄んだ小川が目に浮かびます。 プログラムによると25年前に初来日したゲルギエフの招聘元となった日ソ音楽家協会の代表が芥川也寸志だったとか。今回演奏された芥川氏の音楽、2曲目のプロコPf協奏曲3番のメロディーと通じるところがあります。 その2曲目ですが、ピアノのトラーゼさんのやんちゃぶりといったらもう・・・苦笑。まるで重体で救急救命室に運ばれた患者に何が起こっても対応できるようドクター(ゲルギー)と看護師長(まろさん)が構えている、の図です。 私の中ではこの曲は、初夏に蒸気船に乗って川下り、というイメージなのですが今回の演奏、激流下りというか、ディズニーシーのインディアナ・ジョーンズというか、絶叫マシンに乗ったような、スリリングを通り越してひやひやしっぱなしでありました。 無事演奏が終わったときはほっと胸をなでおろしやれやれ、と。でもま、面白かったといえば面白かったけど、この曲のよさはね・・・。これを通してオケにおかしくも一体感が生まれたようで。怪我の功名。 休憩挟んで後半、悲愴。 私の中ではチャイコフスキー、ツボにはまるのは5>4>6の順、でおりしもこの順序でバイエルン、マリインスキー、今回のN響を聞いたわけですが、一番私の中では遠いこの曲、今回はかなり好印象を持ちました。 ゲルギーの指揮はやはりどんどん変わってきていますね。昔のイケイケドンドンの印象が、今は彼のどこを一番聞きたい、一番よいと感じるかというと、かわいらしさとロマンティックさを伴うところ。日本語でいう「いとをかし」さをとても大切にしているな、と思っています。今回でいうと2楽章~3楽章にかけて。 3楽章になるとオケもかなりエンジンが加速され、周回軌道に乗った演奏、特にヴィオラははじめから統一感があり音色もよかったのですがますますエキサイト、それにつられるようにVn1番2番もゾクゾクするような演奏。 クライマックス、演奏を終えた奏者がひとり、ひとりと楽器を膝に下ろすシーン、カルメル会修道女の対話のラストシーンを思い出し、ただでさえ悲痛な音楽に胸をかきむしられるよう。 特筆すべきは演奏が終わってから、ゲルギーの腕が完全に下ろされ、それからもしばらく続いた静寂。 ラジオをお聞きだったみなさま、あれは技術者が消音したのではなく本当の静寂だったのです。 鳥肌立ちましたよ。。。 ヴェルレクではあれほどペーパーでも直前のアナウンスでも「余韻を楽しむ」よう拍手を自粛するよう言われててもまったく意味をなさなかったのが、今回はうそのよう。 というわけでかなり満足度の高い演奏でした(管とか打楽器には不満も残るけど)。マリインスキー前半2日よりも今日のほうがよかったかも。 明日のマリインスキーのショスタコに活かされることを期待しつつ・・・
by felice_vita
| 2009-11-30 22:44
| 国内オケ
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