新国立劇場でベートーヴェンのオペラ、「フィデリオ」を鑑賞しました。
2006年12月9日(土)14:00~ 指揮:コルネリウス・マイスター 演出・美術:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ 衣裳:ダグマー・ニーファイント=マレッリ 合唱団:新国立劇場合唱団 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 キャスト ドン・フェルナンド:大島 幾雄 ドン・ピツァロ:ハルトムート・ヴェルカー フロレスタン:ステファン・グールド レオノーレ:エヴァ・ヨハンソン ロッコ:長谷川 顕 マルツェリーネ:中村 恵理 ヤッキーノ:樋口 達哉 囚人1:水口 聡 囚人2:大澤 建 偉大なるベートーヴェンによるたった一つのオペラです。唯一であっても彼はさらに推敲を重ね、序曲もこのオペラとは別に演奏されるレオノーレ序曲として演奏されるものもいくつも。 初めてこのオペラを見たのですが、東京でしか成り立たないプロダクションだと思いました。キャストについても興行的にみても。 キャストは日本人と外国人半々なのですが、こうした重厚なドイツオペラはどうしても日本人ではきついです。体格があまりにも違います。フロレスタンとレオノーレが並んで立つと他の合唱、キャストからぬきんで大きいのでまるでガリバー旅行記。ドイツものはこれくらいの身体がないと歌えないということでしょうか。 日本人キャストで納得できたのはマルツェリーネ・中村さんとヤッキーノ・樋口さんくらいでしょうか。中村さんは特に兵庫県出身、しかも大音・大音院から新国オペラ研究生へと進まれた方でですからとても身近に感じられます。「イドメネオ」に続いての新国でのソリスト入り、期待の高さがうかがえます。カーテンコールの拍手もグールド氏と並んで大きいもので、はっきりとはわからないのですが”何か”を持った方です。華、とか超絶技巧、というものではなく。未知数な”何か”。 樋口さんは、まるで売り出され方が悪名高き「Jクラシック」のごときビジュアル先行のものだったため、はっきりいって全く期待せず、大変失礼ながら芝居要員だと思ってました。しかしテレビで聴くよりも声が通り意外にも、この全体的に暗い作品に明るさをもたらす重要な存在となっていました。 今回の聴き所はフロレスタン役のステファン・グールド。典型的な輝くヘルデン・テノールです。今年のバイロイトで「ニーベルングの指輪」のジークフリート役だったとか!第2幕が開いた途端のアリアがフロレスタンの初登場シーンとなるのですが、これを聴くと第1幕はなんだったの、まるでカラフのいないトゥーランドット(ちなみにトゥーランドットの登場は第2幕。よって第1幕はカラフ、リュー、お父さんにピンポンパンくらい。それでカラフがいないのを想像してください。)です。格が違いました。彼を聴けただけでも、フィデリオ見てよかったと思いました。 そのほか、プログラムを見ると聴き所を詳しく説明しているのですが、どうも聴き所はまとめてスコアの読譜にあるようで、その内容はワーグナーのオペラについて”この部分がライトモチーフで”というものよりもはるかに難解、楽理や研究好きなファンならまだしも普通のオペラファンにはちょっと理解するのが難しいです。 内容に華がない、美しいアリアがない、説教くさい、と色々言われ上演が少ないオペラですが、それも仕方ないかと思うオペラです。 ベートーヴェンについては、メロディーは口ほどに物を言い。わざわざ台詞に乗せてまでされると、、、私にはちょっとくどいです。 フィデリオを含め、新国でのオペラ上演は各プロダクション4~5回です。それでもセットも衣裳も手抜きはしていませんからなんだか勿体無い気がします。バレエはこれより多いです。 新国立劇場のオペラハウスでは、開設10周年ということでMET並みの愛称を募集しています。でも10年たっていまさら愛称っていわれても・・・ 新国で定着しているんじゃ? ※今回のオケピットには東京フィルが。2名のオーボエのうちには元大フィルの加瀬君の名前もあり、フロレスタンの独唱部分で美しい音色がテノールの美声を一層盛り立てていたことを報告します。
by felice_vita
| 2006-12-10 23:49
| オペラ・オペレッタ
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