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サントリーホール N響ロマンティック・コンサート

旬のヴァイオリニスト、神尾真由子。
定期的に聴きたくなるショスタコ5番。
この組み合わせで行かないわけはなく、2日公演の2日目を拝聴。

が、自分はとことんマチネー公演向きでないことを実感してしまった。そんな心理状態で聴いたコンサートなので感想は音楽に対するものになりづらくかなり辛め。

N響ロマンティックコンサート
2008年10月12日(日)15:00
リャードフ:魔法にかけられた湖 op.62
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 op.63
 アンコール:パガニーニ『カプリース』より第17番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47
 アンコール:プロコフィエフ交響曲第1番「古典的」から第3楽章 ガボット

指揮:トゥガン・ソキエフ
ヴァイオリン:神尾真由子
管弦楽:NHK交響楽団(コンマス 堀正文)

無理してでも昨日土曜日のソワレ公演に来ておけばよかった。昼間の公演ってどうも苦手、聴く体勢が自分でもできていない上に、客層がなんか違って落ち着きがないというか。別にいいんだけど子どもがきてたって。ただ座席でゆさゆさしてくれなければ、おしゃべりしてくれなければ。神経質といわれても仕方ないけどものすごーく気になるのだ、私には。
それにやっぱり飴ちゃんおばちゃん、お兄ちゃんも多いんだよ。

リャードフ。美しい曲。なんだけど母親に話しかける隣の席の子ども。この曲は印象派的というか、景色を音楽にして表現した曲なのでそこに雑音が入ると頭の中に空想する風景はダムかため池か、”魔法がかからなかった湖”。

神尾さん、文句なしに天才。ヴァイオリン界のイチローだな。
ヴァイオリンの演奏については私はまったく分からないけど、弓使いがもう美しいのなんの。無駄がなく計算された現代建築の設計図的なボーイング、なのに音楽は出来過ぎってくらい濃厚なところは濃厚、淡白なところは淡白。「テキストは厳格に、コンテクストは柔軟に」ってのは学生時代某法曹教授に教わった名言だが、それをそっくりそのまま音楽に投影したらこういう感じか。
アンコールでは超絶技巧な曲をなんてことない風にご披露。あの曲、ピアノで弾くのでも大変なのに・・・
女王さまとお呼びしたい、すんごいカリスマ性、存在感。彼女が登場した途端、会場の空気がショッキングピンクに(ちなみに衣装は真っ赤なノーストラップのドレス)変わりましたもん。
使用楽器はサントリー㈱貸与、1727年製のストラディ。

ショスタコ。ホルン5人組ブラヴィィ。動作までも見事にシンクロ。木管もうますぎ~。あと低弦。ぞわぞわした。(Vnは大フィルと入れ替えたらもっと熱い気がする)
ソキエフ氏、これでもか、これでもかと煽る煽る!ようやくここで私も心静かに(音楽は静かではないが)音楽が楽しめた!幸せのあまり笑ってしまった。
これ1度旧ソ連のオケで聴いてみたい。粛清と扇動と熱狂。
聴くほうも演奏するほうも平和な日本人だからなのか、何かが足りない。ほうじ茶とかウーロン茶飲みながら和懐石いただいているみたいで。

ソキエフ氏。現在31歳(視覚的にも、演奏内容的にも、もっと年上、40くらいに見える)。ゲルギーと同郷、北オセチア生まれ。
オペラ経験も豊富。
演奏スタイルはとことん男っぽい。しかも唸り付き。
アンコールのガボットはとってもお茶目で、別のプログラム演奏したらこの人どんな音楽作るのかしらと興味津々。
一見あっさりしているように見えるが、実はものすごーく熱い人なんだろうな。その熱さの片鱗がN響とはショスタコにうかがえたんだが、そこにいくまで時間がかかってしまい、さらに熱い部分については次回持ち越しというべきか。あうんの呼吸でやってるオケと聴きたい。
※”09年には、トゥールーズ・キャピトル管とソキエフの日本ツアーが予定されている”らしい。

今回のコンサート、念願のショスタコなのになんか低体温な私。マチネーのせいか。あと座席は選ばないと。ただ隣は選べない。子ども連れ用席をブロック指定してくれないものか。
マチネとソワレの客層を比べたことはないが、ソワレで2日公演だと絶対2日目って思うけど、初日ソワレで2日目マチネの場合は、前者のほうが音楽じっくりきくにはよいのだろうか。
今回、リャードフ終わったときの拍手の入りが遅くて(フラブラよりはいいけど)。コンサートは演奏側はもちろんだが客席も一緒になってつくるものだから、そういう点でみると今回は・・・まったりと午睡を楽しむのにはよいかもしれないな。ショスタコでは飛び起きるだろうが。
by felice_vita | 2008-10-12 22:53 | 国内オケ
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