ゲルギエフ&ロンドン交響楽団(12/2)@サントリー

2008年12月2日(火)サントリーホール
ロンドン交響楽団 プロコフィエフ・チクルス
首席指揮者:ワレリー・ゲルギエフ

交響曲第1番 ニ長調「古典交響曲」op.25
ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19
  ヴァイオリン:ワディム・レーピン
交響曲第6番 変ホ短調 op.111

1番は小編成オケ、特にヴァイオリンの美しさが際立つ演奏。軽快に、陽気に。遊び心満載の演奏。この時点では「LSOって高音弦が美しいんだなぁ」。以前聴いたのは今から7年前の故・ロストロポーヴィチさん指揮の大阪シンフォニーホールだったのだが、それもハイレベルな演奏。東京にきてから、在京オケ、来日オケとも金管、木管ばかりに耳がいっておりあまり弦楽器を気にしたことがなかったのに、今日の演奏では拝聴一番?「ヴァイオリンがきれい!」 私の中では日本のオケでヴァイオリンが一等美しいのは大フィルなもので東京ではあまり心打たれるオケのヴァイオリンっていうのがなかっただけに、久しぶりにじっくりとヴァイオリンの音色に聴き惚れる。

ヴァイオリン協奏曲、美しい。レーピンの演奏ってこんなに繊細で優しいものなのか。生で聴くのは初めて。曲目にもよるのだろうけれど独奏もオケもとことん繊細さを追求したような演奏で、音の粒子のひとつひとつまで心配りされた演奏。
3楽章は、まるでサントリーホールが宇宙の無重力空間にスケープしたような錯覚を覚える浮遊感。演奏が終わりに近づき息をのむ客席、そして終わった途端幸福のため息が一斉にもれたのでした。
♪アンコール パガニーニ:「ヴェニスの謝肉祭」
これまた茶目っ気たっぷりだが超絶技巧の演奏。あっぱれ。

休憩をはさんで6番。
ここで天皇皇后両陛下がご臨席。皇后様のご臨席に居合わせたのはこれで3度目ですが天皇陛下ははじめて。これまで以上に警備も厳しくテレビカメラの数も多い。
ご着席されたところでゲルギー登場。
オケは大編成。
緊張感がいっそう高まる。
この1楽章のテーマ、中学校時代にシンセサイザーの編曲を聞いて、なんて宇宙的!という印象を受けたのですが、本物のプロコフィエフの音楽はもっともっともっとすごかった。
前半では軽快で、どちらかというと高音で聞かせる演奏だったのが俄然重厚さを増す。
気がつけば座席から身を乗り出して聴いており、やばい、と周りを見回すとかなりの数の聴衆も同じ姿勢。ここはどっぷり音楽につかるべし。
ゲルギエフの指揮、もっと外に熱を発するものという印象が強かったのだが、この曲だからか、LSOだからか、内に熱い音楽。スコアときっちり向かって、スコアの中に入り込み、そこにオーケストラを引っ張り込んでいるかのような深く理性的な音楽。指揮振りをみても絶対的にオケに信頼をおいているのか、パン生地をこねるように楽器の音を器に盛り込むかんじ。
音楽が進んでいくうちに、ステージの集中力がますます高まり、それにつられて客席の緊張感も異常なまでに高まる。楽章間に無駄な音をたてる聴衆も皆無。一種独特の演奏空間が生まれる。
演奏終わり、ブラボー以外、言葉が見つからない。
良い演奏、良い聴衆。演奏会の成功とはどちらも揃って生まれるものなのだ。

アンコールの「ロメオとジュリエット」からモンターギュ家とキャピュレット家も、もうアンコールというよりもメインディッシュの一皿。

なんと精神的に満たされる演奏会だったことか。じっくりと余韻を愉しみつつ、でもやっぱり内側からふつふつと沸いてくる興奮。眠れないわ。

客席に空席が目立ったのが残念だったけど、これぐらいのほうが音の響きを感じるにもよし、マナーのよい聴衆だったのがなおよし。
偉大なるゲルギー。純度を増す音楽。目が離せない。

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by felice_vita | 2008-12-02 22:55 | 海外オケ
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