カテゴリ:読書( 17 )

最近読んだ本

最近読んでよかった本。

安達紀子『ロシア 春のソナタ、秋のワルツ 1999~21st』 新評論、2010
 ロシア文学、演劇にとても興味がわいてくる。
 やっぱりかの国は、不可思議、混沌、矛盾に満ちていて、でもそれがなんと魅力のあることか。

小澤征良『しずかの朝』新潮文庫、2010
 父君の名前を出さずとも、彼女はもう作家として独り立ちしているのだな、と思った1冊。文章に、文字の向こうに通奏低音が流れていて、音楽と言う道をとらずともそれはこういう世界でも引き継がれるものなのだな。
やさしくて、不思議で、読後ほっこりする。
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by felice_vita | 2011-05-03 08:35 | 読書

最近読んだ本

お正月休みは、南アジア関連本を集中的に。
その中で箸休め的に読んだ1冊ですが、面白い!ソプラノ歌手って、というか、オペラ歌手は日本人的「奥ゆかしさ」とは全く逆の気質を持っていないとやってられない。

柏木博子著『私のオペラ人生 ドイツオペラ界のまんなかで』
朝日出版社(2010.4)

ご主人の赴任に随伴したドイツでラインオペラのステューディオから出発、ドイツ国内の様々な歌劇場でソプラノ、プリマドンナをつとめる。

ドイツの歌劇場システムもよくわかります。
シュヴァルツコップ氏のレッスンの部分を読んで、かのソプラノの女王様が(私にとってはやはりバラ騎士の元帥夫人)私生活においても優雅で気品のある方だったのだな、とあこがれがますます募ります。
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by felice_vita | 2011-01-16 08:56 | 読書

本日読んだ本

春休みで通勤電車もすいてきたおかげで、行き帰りで読了。

片桐卓也『クラシックの音楽祭がなぜ100万人を集めたのか [ラ・フォル・ジュルネの奇跡]』

CDショップにおいてあるぴあクラシックがラ・フォル・ジュルネの特集、開催まで2ヶ月弱のこのタイミングにあわせての出版だったのでしょうか。
ルネ・マルタン氏のインスピレーションのすごさ、プロジェクトXばりのこの音楽祭を日本で開催するまでの道のり、浪漫ですなぁ!いいぞ!ぴあクラシック冊子を見ると東京・金沢のほか新潟、びわ湖でもこのイヴェントがはじまるとか。
日本とフランス・ナントの違い、国民性、土地柄を読むのも面白いのですが、すごいなと思ったのが、フランスのラ・フォル・ジュルネの立ち上げに日本企業が大きな役割を果たしていたこと(ソニー・フランス、YAMAHA)、そしてこの1日中音楽梯子できるプログラムをマルタン氏自身が作成されていること。同時進行するコンサートが一斉に終わらないよう(動線)、そして移動時間も図ってのプログラミングはさながら鉄道のダイヤを組む線引き屋の世界です。
日本企業って見る目があるというか、環境さえ整っていれば日本国内とまったく違う土俵でも堂々と立ち回りできる実力を持っているのですね。カラヤンとソニーしかり、ウィーン国立歌劇場とレクサスしかり。

今年のテーマは「ショパンの宇宙」。
そういえばピアノ、単独で聴かなくなって久しいのでたまにはいってみるかなぁ。
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」
東京国際フォーラムでの開催は5月2日~4日
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by felice_vita | 2010-03-19 23:15 | 読書

最近読んだ本

映画は見られなかったので。

『路上のソリスト 失われた夢 壊れた心 天才路上音楽家と私との日々』
スティーヴ・ロペス著 入江真佐子訳 祥伝社

映画のサイトはこちら →  http://rojyo-soloist.jp/site/

ジュリアード在学中に統合失調症で退学。LAで路上生活を送りながら楽器を奏でている路上音楽家とLAタイムスコラムニストとの出会い。
原作で主人公ナサニエル・アンソニー・エアーズの専門はコントラバス。路上ではチェロとヴァイオリンを弾いていますが、ジュリアードへはコントラバスで入学。
文中では、ロサンゼルス・フィル、フランチャイズホールのウォルト・ディズニー・ホール、エッサ・ペッカ・サロネン、そのほかにも名だたるソリスト、ジュリアード時代同じ学生オーケストラでプレイしていたヨーヨー・マが出てきます。彼らのテクニックに驚嘆し自分にはあのようには弾けない、という主人公ですが、ジュリアード時代の彼の評価は類まれなる音楽性にあふれた、あたたかい音色を奏でる演奏家。
アメリカの影の部分、ドラッグ、ホームレス、いろいろな問題が描かれていますが、どうしても音楽のほうに気持ちが。。
ベートーヴェンをこよなく愛し、LAをベートーヴェンの街、と称しています。英雄、第九、チャイコフスキーの弦楽セレナーデほか、たくさんの音楽がでてきますが、最後に出てくるシベリウスの2番。
”「ここでシベリウスはなんていっているか、わかるかい?」
「こういってるんだ。『わたしはこの音楽が大好きだ』って。聞こえる?『わたしはこの音楽が大好きだ』って」・・・
 「あのコンサートがずっと終わらなければいいのに、と思ったよ」”
読み終わるなり、猛烈にこの曲が聞きたくなることうけあい。
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by felice_vita | 2009-10-03 12:06 | 読書

最近読んだ本

イタリアを意識してたわけではないのだが、積読本を手に取ったタイミングがぴったりスカラ座来日。

キャスリン・マゴーワン『待ち望まれし者 愛の書 イエスによる福音書』(ソフトバンク文庫)

カノッサの屈辱で有名な教皇グレゴリオス7世とハインリヒ4世、その仲介として歴史ではチラッと姿をみせたトスカーナ女伯マティルダの人生を、マグダラのマリアから脈々と受け継がれるイエス・キリストの愛の教えにからませ、現代の主人公の人生と交差させる、フィクションだがそれだけではない名作。
ダン・ブラウンの『天使と悪魔』、桐生操『王妃カトリーヌ・ド・メディチ―ルネッサンスの悪女』なんかと合わせて読むとイタリアな空気をどっぷり味わうのにベスト。
フランスのシャルトル大聖堂に行ってみたくなる。そして永遠の都ローマ、じっくりテーマを絞って訪れてみたいもの。
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by felice_vita | 2009-09-13 07:50 | 読書

ドストエフスキーと村上春樹

先月に引き続き東京外大の公開講座へ。

東京外国語大学公開講座「甦るドストエフスキー 『罪と罰』と『カラマーゾフの兄弟』の世界」
第2回 2009年6月13日(土)
「黙過」のリアリティ -イワン・カラマーゾフの悲劇
講演:亀山郁夫 東京外国語大学長

前回の教訓からスタートぎりぎりではなく40分ほど前に到着したのに講義室はすでに半分以上の人が。
はじまるまでも映像が流され、退屈しない。最近の大学の設備はいいですね。

そして講演スタート。
亀山学長は本当に聴衆のつかみがお上手です。笑いの手の入れ方が絶妙。
村上春樹の新刊1Q84はカラマーゾフの兄弟のモチーフがこめられているそうで、書評(解説?)を頼まれ現在読んでいらっしゃるとか。
1Q84、すごい話題ですね。3日ほど前のニュースであちこちで売り切れ続出、というのをやってましたが、私はどうしても村上春樹の本が読めない。なんでだろう・・・ノルウェーの森、1ページでアウト、それ以降の本もことごとく社会現象になっているのにどうしてだ、読み進めない。翻訳もの、カポーティの短編集はOKだったが、グレート・ギャツビーの訳はだめだった。。。でもあれからしばらくたったことだし、もう一度チャレンジしたい。
村上春樹ファンは男性が多いそうですね。学長いわく、男性でないと理解できない、共感できない部分が多いとか。それでも最近女性ファンが増えているのは、時代がモノセックスになっているからなのか、とか。
海外でもファンが多い村上作品、文体が独特ならその翻訳者の苦労もさぞ、だろう。

ドストエフスキーの文体、口述筆記で、ほかのどの作家とも一線を画する。
村上春樹の文体もドストエフスキーに似て口述筆記しているのではないか、というような独特のリズムとリアリティがある。
「カラマーゾフの兄弟」の父殺しとイワンの罪の認識。父殺しの「海辺のカフカ」、きっと続編がかかれるはず。

今回もあっという間の1時間半。ドストエフスキーの世界観、村上春樹、翻訳という過酷な仕事、などなど内容満載。
昨年、マリインスキー劇場での世界初演オペラ「カラマーゾフの兄弟」をご覧になったそうです。そしてこのオペラ、2011年に日本での上演が決まっているとか!ってことは2年後もマリインスキー劇場&ゲルギエフ、来日が決定してるってことですね。

飛田給駅から東京外大までの道、背の高い緑の木立、広い空。とても東京都内とは思えない落ち着きで、ふるさとに帰ったみたい。心が穏やかになります。
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by felice_vita | 2009-06-14 09:24 | 読書

最近読んだ1冊

『ビルギット・ニルソン オペラに捧げた生涯』
ビルギット・ニルソン著 市原和子訳(2008,春秋社)

文句なしに面白い!
伝説のソプラノ歌手ビルギット・ニルソンですが、歌だけではなく筆のほうも達者です。
彼女のキャリアスタート、人生、そして方々に散りばめられた豪華な競演陣、指揮者の数々。
彼女だけの伝記ではなく彼女の時代に活躍していた音楽家の伝記でもあります。
カラヤン、ベーム、クライバー、ショルティ、サヴァリッシュ。
伝説としてしか知らないニルソンV.S.コレッリのトゥーランドット対決。
歌手がいかにレパートリーを広げていくか。
録音がどのように進められていくか。
バイロイト音楽祭の舞台裏とは。
書かれているエピソードのどれをとっても最高に面白い。
ぜひご一読あれ。


※ばら騎士ネタでひとつ。
元帥夫人は32歳、現代年齢だとまぁ40すぎくらいかと思っていたのですが、本著ニルソンによると「56歳くらい」。
なるほど!
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by felice_vita | 2009-03-14 09:25 | 読書

音楽に淫する

谷川俊太郎・内田義彦『対話 言葉と科学と音楽と』(藤原書店、2008)

谷川俊太郎さん、大好きです。タイトルに惹かれ手にしたのですが、音楽と自分のつながりをこれほどまで深く表現できるなんて、やはり言葉を仕事としていらっしゃるプロフェッショナルの力は偉大。
対話のお相手、内田義彦さん、私は存じ上げませんでしたが1989年にお亡くなりになった経済学者。これまた語られる論理が目の前で物体として料理されているかのようにわかりやすい。

谷川さんの感性に共感することがかねてから多かったのですが、本書中でも、「そう、そうなのよ!これがいいたかったのよ~」という表現がこれでもか、これでもかと繰り出され、胸がすくとはこのことか。

”・・・これは若い頃なんですが、僕はかなりの聴覚型らしくて、音楽に溺れていたような時期がありましてね、音楽に淫しているという印象を持ったことがある。音楽というものは、人間の心とからだにある秩序を与えてもくれるけれど、同時に秩序を破壊するものじゃないか、とそのとき強く感じた記憶があるんです。・・・”

”・・・僕の間隔で言うと、やはり音楽を、自分の感動したパッセージを聴いていると、自分の認識能力のある限界から一歩先へ行けそうな、そんな気がしてくる。つまり、普通の頭脳の状態だったらここまでしかわからないものが、音楽を聴いたおかげでちょっと開けて、向こう側が見えそうになる、という感覚。それが、音楽を聴くときの一番の愉しみでもあるし、同時にイライラさせられるところでもある。というのは、その状態をいくら言葉でつかまえようと思ってもどうしてもつかまえられない、ということがありますから。・・・”

”・・・それまで僕はワーグナーというのをほとんど聴いたことがなくて・・・一種の食わず嫌いだったんですが、そのザルツブルグの復活祭音楽祭で、カラヤンがワーグナーを指揮するのを、しかもそのリハーサルの現場も何時間か聴いてみて、音楽のもつ一種の魔性みたいなものに引き込まれていくような感覚を味わった。我ながらちょっと恐い、という感じがしたんです。ふだん、僕たちはレコードをとおして西洋音楽に接しているわけだけれど、僕がそのザルツブルグで一番感じたのは、ヨーロッパにはヨーロッパ・アルプスという山があり、ザルツブルグにはザルツブルグの古い街のたたずまいがあって、オープニングの日には、みんなタキシードとイブニングドレスで集まってくる、なにかそういう、その音楽が生まれてくる文脈みたいなもの、その質感みたいなものと、音楽とはやはりどうしても切り離せないという実感があったんです。・・・”
”・・・ロマン派の持っている微妙な肉体感覚、質感みたいなものがやはりレコードを聴いているだけでは本当にはとらえ切れてなくて、ヨーロッパのああいう町のああいう空気の中で聴いて初めて、彼らの間にロマン主義が生まれたということのわけが分かった。・・・”

嗚呼、ヨーロッパが呼んでいる・・・
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by felice_vita | 2008-11-30 10:09 | 読書

最近読んだ本

サンクトペテルブルク・フィルをきっかけにいくつか。

河島 みどり著 『ムラヴィンスキーと私』(草思社、2005)
西岡 昌紀著 『ムラヴィンスキー 楽屋の素顔』(リベルタ出版、2003)
ギドン・クレーメル著 『クレーメル青春譜 二つの世界のあいだで』(アルファベータ、2007)

ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルの1983年の白ロシアでの演奏会、ショスタコ5番のディスクも同時に視聴。(フルート奏者は奥様だったのですね)
ソビエト時代の日常、芸術家に対する国の体制、芸術家として生きること。
たった18年前のことなのに別世界、架空の、映画のような世界があったのだ。鉄のカーテンとはまことに正鵠。
ヴァン・クライバーン・コンクールの書籍だったか、ジュリアードの青春だったか、はたまた諏訪内サンの著書だったか忘れたけれど、ソ連からの参加者の背負う重い使命はかくもすさまじいものかということが書かれていたが、それを裏付ける話ばかり。
それでも、河島さんの著書からはにじみ出るマエストロのお人柄がなんとも温かく、ほっこりしていて心地よい。通訳を職業とする方はほんとに名文を書かれる方が多いですね。米原さんにしろ特にロシア語の方は視点も切れ味も読後の印象もずば抜けている。
ショスタコーヴィチの印象も、世間的なものでなくマエストロとの交流から見えてくるところが本来の彼(ショスタコーヴィチ)なのかと。きっと私が彼の曲に惹かれるのはこの部分なのだと思う。
ショスタコーヴィチ評伝は、英国におけるミルクと紅茶の問題のようなもの。どっちが先、どっちが正統でも関係ない、その中味が楽しめれば。

西島さんの著書は、河島さんのあとに読むと二度美味しい。
幻のムラヴィンスキー来日にどれほど日本が熱狂していたか、大阪万博の頃の日本のクラシックファンの様子、そしてマエストロはどのように音楽に接し、日本を楽しまれたのか。
(お父上がレン・フィルの招聘に尽力された方で、河島さんの著書の中にも、5度目の来日が幻になったのは西岡さんへの恩義もあったのではと書かれている。)
その時代の熱狂、想像するだにこちらも興奮する。つむぎだされる音楽も、今のように世界規模の楽団移動、データの行き来がない時代はまったく違ったものだったのだろう。聴いてみたかった!

クレーメル、1947年生まれ。約40年がソビエト時代、若くして西側への渡航を認められ(認めさせ)ても、ソビエトの影響力のいかに大きいことか。というよりも、亡命ではなく、正規ルートでソ連との行き来も認めさせる手腕もだが、ソビエトとの絆を切らないところ、切りたくはないという心を生じさせるというところが、ソビエトの不思議。
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by felice_vita | 2008-11-15 09:00 | 読書

最近読んだ本 よかったもの

10月に入り、おっそろしいほどの激務。晩御飯はアフター23時、メタボ注意報発令中。そろそろどこかへ行きたくなったが、せめて読書で空想旅。

♪高松平蔵著『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか 小さな街の輝くクオリティ』
 (学芸出版社、2008)
 ドイツはバイエルン州、フランケン地方、ニュルンベルクのお隣の町、エアランゲン(医学系の先生方はエルランゲンと発音されまする)。私の友人家族はニュルンベルク在住だが彼女の妹がエアランゲン在住、私も1度ここのビアガーデンに行ったことがあるのでとっても身近に感じる。人口10万人強。日本なら近隣大都市のベッドタウンとしてしか機能しないような規模なのにこの充実ぶりってなんだろう。
本当にドイツはどんな小さい町でも生活する楽しみがある。職住近接が基本。
文化芸術は生きる基本。好きな人間にはやっぱりドイツってこたえられない魅力がある。
 
♪濱本純著『ナパヴァレーのワイン休日 ワイナリーが織りなす究極のスローライフ』
 (樹立社、2008)
 ナパヴァレー、次に行くときは絶対に泊まりで行きたい。ワイン、ワイナリーへの愛情を感じた1冊。スローライフってわざわざタイトル副題に入れなくってもよかったのに。読めばその精神は一目(一読)瞭然。観光ガイドとしてだけではく、内容がフルボトルのように充実濃厚で何度でも読み返したくなる。ひがな一日、庭先でワイン畑を眺めながらのんびりグラスを傾ける。。。想像するだけで幸福。

♪小泉純一郎著『音楽遍歴』
 (日本経済新聞出版社、2008)
 30分もあれば読める。小泉節顕在。下手な「クラシック入門書」より断然とっつきやすい。評論家の意見よりも、自分が聞いて好きになれるかどうか。批評家の意見にまったく重きをおかないところなんて、首相時代の姿勢そのもの。
ヴァイオリンがクラシック音楽の入り口だったとは。自身で演奏しはるなんてまったく知らなかったし、バイロイト訪問裏話も面白い(エルビス・プレスリーの記念館訪問も)。
心から音楽が好きな人なんだなぁ。”愛情”の捕らえ方が小泉さんらしい。独特の美学だな。音楽を通して人となりがよーくわかるわ。
そんな人だけに、引退後息子に地盤を譲って・・・っていうのが非常に残念。
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by felice_vita | 2008-10-18 00:46 | 読書